スウェーデンでプログラマーとしての雇用のされ方、メリットとデメリット。給与形態について

スウェーデンのオフィス
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スウェーデンでプログラマーとして雇用される場合、大きく分けて2通りあります。
一つ目は会社に直接雇用される場合。
二つ目はコンサルタント会社に雇用されて、実際に仕事をする会社は別の会社で、
別の会社でコンサルタントとして働く場合です。

私は今まで2つの会社で直接雇用で働き、その後2社のコンサルタント会社に雇われて、主に4つの会社で働いてきました。今回は私が実際に働いてみた中で感じたその違いとメリットについて書いてみたいと思います。

実際に働く会社がお給料をもらう会社 – 直接雇用の場合

直接雇用の場合、実際に働く会社が自分の会社、ということになります。数回呼ばれる面接のプロセスの中に人事との面接があったり、入社が決まって、社員研修があったり、人事課との面談があったり、実際に仕事をしている会社と自分の関係が深くなりやすいのが直接雇用です。

コンサルタント会社に雇用されて、コンサルタントとして働く

例えばコンサルタント会社に採用が決まったとすると、
次は実際に仕事をする会社に面接に行く必要があります。
コンサルタント会社は自分の会社であるけれど、実際に仕事をするのは別の会社。
多くの場合、コンサルタント会社に営業担当者がいて、
プログラマーの希望と顧客が必要としているスキルや人を照らし合わして顧客にコンサルタントを紹介します。顧客が会ってみたい、ということになったら面接に行きます。

コンサルタントの扱いと仕事の内容は会社によって違う

直接雇用とコンサルタントを両方経験してみて思うのは、
コンサルタントの扱いと仕事の内容は会社によって違うということ。
私の今の職場では一つのチームの中に何人かのコンサルタントがいるので、仕事内容に違いはありません。
でも、会社によっては人気のないプロジェクトをコンサルタントにやらせるということもありました。

そして、実際に仕事をする会社にとってのコストはコンサルタントの方がかかるので
会社の業績が悪化して大量解雇することになった場合、
一番にカットされるのはコンサルタント、というのはよくあることです。
ただし、コンサルトは働く会社がなくなっても、コンサルタント会社に雇用されているので、
職なしにはなりません。次の会社をまた営業さんに探してもらいます。

働く期間は直接雇用とコンサルタントでは違う?

コンサルタントが面接に行き、担当者が気に入って、じゃあ働いて下さいと、
なった場合、コンサルタント会社と派遣先の間で契約を結びます。
私が今まで働いた中では契約が5ヶ月だったり、8ヶ月だったりと短い場合もありましたが、
現在の会社では私の気づかないところで延長されていてもうすぐ3年になります。

コンサルタントとして働く場合は突然契約終了、ということもあります。

一度1ヶ月契約を延長すると言われた数日後に突然、今日で契約終了、と言われた時がありました。
さすがに突然で胸が痛くなるくらいショックでしたが、
コンサルタントだから、と自分を納得させるしかなかったですね。

多くの場合、直接雇用の方が安定していると思います。
6ヶ月の試用期間さえなんとかなれば自分から辞めると言わない限り長く働くことが多いかと思います。
長くと言ってもスウェーデンでは大学や専門学校を卒業して入社した場合、給料を手っ取り早く上げるため、
3年から4年で転職をする人が多いようです。

私の場合、直接雇用で入社した会社2社は、1社目は6ヶ月で試用期間終了後、上司が変わり、
ウクライナから経験豊富なプログラマーをリモートで雇ったため解雇を言い渡さました。
2社目は一年ほど働いた後、一年の育児休暇をとり、復帰後6ヶ月で会社の合併で会社の方針が変わり、
またやんわりと解雇を言い渡されたので自分の意思とは関係ないところで転職をすることになりました。

直接雇用だから安泰、ということではないですが、コンサルタントの契約終了ほど突然ではないと思います。

直接雇用とコンサルタント、給料の違いは大きい?

スウェーデンでは給料は採用面接での交渉で決まります。

一番最初に入社が決まるまではとりあえず仕事さえあれば給料には文句はいわない、
という気持ちでしたけれども、今ならフロントエンドディベロッパーとしての
平均賃金と自分の経験年数を考えて自分で自分の金額を決めて面接に臨みます。
(給料の話をするのは基本的に面接官に聞かれてからという暗黙の了解があります。)

直接雇用の場合、コンサルタントに比べて給料が比較的低めという印象はあります。
ただしこれも交渉次第。そして、コンサルタントの給与は自分が選ぶ給与形態によっても違います。

コンサルタント会社によって違う給与形態

会社によって給与形態は違います。リスクをとって月々多くの金額を得るか、
安心をとって平均的な給料をもらうかは自分で決めます。

  • 固定給与 毎月決まった金額を仕事がある期間もない期間も受け取る。 
  • 半固定給与 仕事がある期間は多めに受け取り、仕事がない期間は少なめに受け取る。
  • 出来高給与 コンサルタント会社と働く先で決めた時間請求金額を元に、請求金額の例えば80%を給料として受け取る。(パーセントは会社によって違う)

私は今の会社に入社した当時は自分のスキルにも自信がなく、不安だったので固定給与を受け取っていました。2年ほど働いて自信がついてきた頃に半固定の給与形態に変えました。
自分のスキルに自信があり、例え契約が終わっても次の職場がすぐ決まる、と思えれば、
出来高の給与形態に変える人もいますが、私にはこの経済状況下、その勇気はありません。

出来高の給与形態の場合、仕事がない場合は収入はゼロになります。
そのため、月々の給与の振込は一定額に抑えて、会社にプールしておいて、
万が一仕事がなくなった時にも収入がなくなることがないようにするそうです。

社会保障に関しては直接雇用もコンサルタントも同じです。
コンサルタント会社でもちゃんと雇用年金があります。

リスクがちょっと高い分、様々なメリットがあるコンサルタント

突然、契約終了が言い渡されることがあるリスクがある分、メリットもあるコンサルタント。
というのもコンサルタント会社は顧客から受け取った金額をそのまま私たちプログラマーに払うわけではなく、
お金をプールしておいて、派遣先のない期間の給料に使ったり、社員旅行やその他の福利厚生に使うからです。

様々な福利厚生としては、

  • 年に1-3回ある社員旅行(スウェーデン国内、あるいは海外)
  • 1ヶ月に一回ほどあるコンサルタント会社が企画する飲み会や勉強会
  • 自分の気に入った機材を誰の許可も得ずに買うことができる予算がある
  • 自分のスキルアップに使える教育予算がある

コンサルタント会社の同僚とは仕事を実際にする会社が違うので滅多に会いません。一年に1-3回ある社員旅行やコンサルタント会社が企画する飲み会で会って、意見交換をしたり、一緒にどこかに遊びに行ったりします。

このブログを書いているのは9月ですが、9月の初めに二泊三日でゴットランドに社員旅行に行きました。
12月にはドイツのベルリンでグループ会社の集まりがあります。

様々な会社で働いている同僚がいるこそ面白い勉強会

コンサルタント会社の規模は様々で、現在私の働いている会社は30人ほどですが、
プログラマーだけではなく、マネージメントに関わる仕事をしている人もいます。
それぞれが働いている会社も様々で、プログラマーの使う言語も色々。
ただ、お互いがやっている仕事内容が似ていたり、直面する問題が似ていたりするので
飲み会で悩みを相談しあったり、仕事の内容の意見交換をしたりします。
そうするとまた明日から頑張ろうと思えるのです。

教育予算でスペインのReact Alicanteへ

今、このブログはスペインに向かう飛行機の中で書いています。
私の働くコンサルタント会社には教育予算があり、そのお金の使い道は自分で決められます。
オンラインのコースを取ってもいいし、世界各地で行われるプログラミングやIT関係のコンフェレンスに参加するための費用に充てることもできます。

実際私は今年の9月にスペインのアリカンテで行われた、React Alicanteに行くための費用をこの教育予算で払いました。詳しくはまた次回のブログでReact Alicanteについて書きたいと思います。

結局、今の私はコンサルタントとして働いている。

コンサルタントとして働くか直接雇用されて働くかを決めるのは自分。私の場合、たまたま就職活動をして契約が決まったのがコンサルタント会社だったのでコンサルタントになりました。

リスクがあってもメリットがあるから私は今この働き方でいい、と思う日もあればそう思わない日もあったり。これから先の将来設計や経済状況によっても私の選択は変わっていくと思います。

プログラマーの仕事には色々あります。社会に貢献できるようなプロジェクトで働いたり、人々の生活が便利になったり、楽しい生活が送れるためのツールを作る事ができたら、コンサルタントとして働きながらそんなプロジェクトに出会えたら。

私にとってはそれが理想です。